お知らせ

News

研究

毛髪の糖化を抑制する植物エキスの探索

  • 毛髪は加齢に伴い、また根元から毛先にかけて糖化する事が知られている。
    糖化した毛髪は強度が弱くなり、切れ毛や枝毛の原因になると考えられる。
  • 毛髪の糖化を防ぐ植物エキスを探索した結果、ルイボスエキスに強い抗糖化作用がある事を見出した。
    ルイボスエキスを用いることで、毛髪の糖化を防ぎ、また糖化による強度低下を抑制する事を確認した。

本研究内容は、IFSCC Mexico Conference 2021にて発表、Glycative Stress Research誌に論文掲載。

背景と目的

食事等から摂った余分な糖質が身体のタンパク質と結び付く反応を糖化反応と言います。糖化反応によりタンパク質は変性し、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質へと変化します。
糖化は循環器疾患・骨粗鬆症・認知症等の老化と関連の深い病気の進展要因であることから、老化因子の一つとして研究が進められています。肌においても糖化は進み、キメの喪失・黄変・ハリや弾力の低下の原因とされ、糖化を抑制する「抗糖化」はエイジングケアの重要な要素として注目を浴びています。
近年、毛髪においても加齢に伴い、また根元から毛先にかけて経時的に糖化が進むことがわかってきました。毛髪の糖化は毛髪の強度を下げ、切れ毛や枝毛といった髪質の低下や見た目の老化を促進させてしまいます。そこで、アリミノでは髪の糖化を防ぐため、髪における抗糖化作用を有する植物エキスの探索を行いました。

研究結果①
スクリーニング結果

図1. 一次スクリーニング結果
図2. 二次スクリーニング結果

試験検体には26種類の植物エキスを選別しました。

毛髪の80%~85%はケラチンというタンパク質で構成されています。そこでまず、ケラチンタンパク質を使用して、26種類の植物エキスの抗糖化作用を調べました(一次スクリーニング)。その後、75%以上の抗糖化作用が見られた9種類の植物エキスについて、IC50というより詳細な方法で抗糖化作用の検証を行いました。

その結果として、ルイボスエキスに高い抗糖化作用がある事を見出しました。

研究結果②
毛髪を用いての抗糖化作用の検証

図3. 糖化抑制効果
図4. 毛髪中AGEsの可視化(*赤い光がAGEs)
図5. 毛髪の強度

次いで、実際の毛髪を用いて、ルイボスエキスの抗糖化作用の検証を行いました。
毛髪を強制的に糖化させ、ルイボスエキスの添加の有無で毛髪中のAGEs量と毛髪の強度を調べたところ、ルイボスエキスを添加することで毛髪の糖化が抑えられ、また糖化による毛髪強度の低下も抑制できる事がわかりました。

これらの結果から、ルイボスエキスは毛髪の糖化を抑え、糖化による毛髪の強度低下を抑制する可能性が示唆されました。

まとめ

本研究により、ルイボスエキスは毛髪における糖化を防ぐ事がわかりました。また、糖化を防ぐことで、糖化による毛髪の強度低下を抑制する事が確認されました。これらの結果より、ルイボスエキスを配合した毛髪用化粧品を使用することにより、髪の糖化を防ぎ、美しい髪を維持できる可能性が示唆されました。


本研究成果は、2021年10月18~28日に開催されたIFSCC Mexico Conference 2021にて発表を行いました。

発表会IFSCC Mexico Conference2021
発表タイトルScreening plant extracts for inhibition of glycation on hair
発表者大熊康範(1) 田中二郎(1) 望月章雅(1) 八木雅之(2) 米井嘉一(2)
(1) 株式会社アリミノ (2) 同志社大学
発表日2021年10月18日~28日

また、本研究成果はGlycative Stress Research誌に論文掲載されました。

掲載誌Glycative Stress Research誌 2021年 8巻3号 148-155頁
論文タイトルScreening plant extracts for inhibition of hair glycation
毛髪における抗糖化作用を有する植物抽出液の探索
発表者大熊康範(1) 田中二郎(1) 望月章雅(1) 八木雅之(2) 米井嘉一(2)
(1) 株式会社アリミノ (2) 同志社大学