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女性のための育毛剤の開発
- 細胞試験により4種類の植物エキスで、女性用の育毛に有用な効果の可能性を確認した。
- この4成分を組み合わせた育毛剤モデル処方を用いて、ヒトでの有用性試験を行ったところ、有意な育毛効果を確認する事ができた。
本研究内容は、日本生薬学会第67回年会にて発表。
背景と目的
毛加齢に伴う薄毛化は男性ばかりでなく、女性にとっても大きな悩みとなっています。しかし、男性に比べて女性の薄毛化については十分な研究がおこなわれておらず、対処可能な薬剤及び施術が限られています。 そこで、本研究では女性の薄毛化を改善する事を目的に、既存の育毛成分を再評価し、その結果を基に女性用育毛剤の開発とその有用性の評価を行いました。
研究結果①
細胞試験結果
男性型脱毛症と異なり、女性型脱毛症の最大の特徴は毛髪本数の低下といわれています。加えて、細毛化、加齢による女性ホルモンの減少の影響、ハリ・コシの低下も女性型脱毛症の特徴と考えられています。
そこで、本研究では細胞を用いた試験により、これら女性型脱毛症の特徴に関連する遺伝子の発現促進効果の確認を行いました。
試験検体にはクジンエキス、ニンジンエキス、セファランチン、サンショウエキスの4種を選別しました。これらのエキスは男性型脱毛症や円形脱毛症に対する改善効果が報告されていますが、女性型脱毛症に対しての改善効果についてはほとんど検証されていません。そこで、上記4種のエキスについて、細胞を用いた試験を行い、女性型脱毛症に対する改善効果の可能性を評価しました。
試験の結果、クジンエキス、ニンジンエキス、セファランチンには毛成長促進と太毛化・ハリコシに関与、サンショウエキスには上記に加え毛包を形成する遺伝子の発現促進効果が確認されました。
研究結果②
育毛剤モデル処方の有用性試験結果
次いで、薄毛・抜け毛が気になる女性21名を対象に、これら4種の植物エキスを配合した育毛剤モデル処方を作成し、その有用性評価試験を実施しました。
その結果、これらの成分を配合した育毛剤は毛径及び毛髪本数・密度の項目において有意な改善効果が確認されました。また、洗髪時の抜け毛本数では、有意ではないものの減少傾向が確認されました。加えて、頭頂部の写真撮影の結果からは、女性がもっとも気にするとされている分け目が目立ちにくくなるといった効果も確認できました。
まとめ
既存の育毛成分であるクジンエキス、ニンジンエキス、セファランチン、サンショウエキスの4種のエキスに女性用育毛剤としての可能性を新たに見出しました。次に、実際にこれら4種のエキスを配合し開発した育毛剤の有用性をヒトにて検証し、薄毛に悩む女性に対して育毛効果を確認しました。特に女性型脱毛症の最大の特徴である毛髪本数の低下が改善された事は、見た目上での改善効果につながったと考えられます。
【用語解説】
FGF7
成長期を維持し毛髪本数の低下や細毛化を抑制する因子
VEGF
毛包周辺の血流を促進し、毛髪本数の低下や細毛化を抑制する因子
BMP-2
毛包を形成するものの女性ホルモンの減少により発現が減少する因子
KAP5.1
キューティクルを形成することにより、ハリ・コシに関連するが加齢に伴い減少する因子
本研究成果は、2021年9月19~20日に開催された日本生薬学会第67回年会にて発表を行いました。
発表会 | 日本生薬学会第67回年会 |
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発表タイトル | 女性のための古くて新しい育毛剤の開発 |
発表者 | 大熊康範(1) 今井 恵(1) 田中二郎(1) 望月章雅(1) 岩渕徳郎(2) (1) 株式会社アリミノ (2) 東京工科大学 |
発表日 | 2021年9月19日~20日 |