『頭皮臭』の仕組みとその抑制方法

ポイント

頭皮臭汗臭脂臭の2つのニオイが混ざり合ってできている。
汗臭脂臭それぞれに対して効果的に作用する成分を発見。
これらの成分を組み合わせることにより、効果的に『頭皮臭』を抑制できることを発見。

体のニオイはどのように発生する?

図1.ニオイの発生メカニズム

体臭の原因となる物質は身体から出る汗・皮脂・アカですが、実はこれら自体がにおうわけではありません。ヒトの皮膚に存在する微生物「皮膚常在菌」によって分解されたり、空気中の酸素によって「酸化」されたりすることにより、これらの物質はニオイを発するようになり、身体のニオイ「体臭」となります。

ニオイは身体の場所によって違う

図2.身体の場所によるニオイの違い

一言に身体のニオイといっても、身体の部位によってそのニオイが異なることが知られています。また「加齢臭」のように、年齢を重ねるごとに身体のニオイも変化していきます。

なぜ体の部位によってニオイは違うの?

 図3.汗は2種類ある

それはニオイのもとになる皮脂、汗、アカの量や種類に違いがあるからです。特に汗には「エクリン汗」と「アポクリン汗」の2種類があり、身体の部位によって分泌される汗の種類も異なります。加えて皮脂を分泌する皮脂腺の数、それぞれの部位の蒸れやすさといった環境の違いにより、発生するニオイ成分の種類や量も変わってくるのです。

身体の部位ごとの特徴とニオイの特徴とキー成分

それでは、部位ごとの特徴とそこで発生するニオイ成分について見ていきましょう。

図4.身体の部位の特徴とニオイ成分

足のニオイの特徴 足には「エクリン腺」が多く、水分を多く含んだ「エクリン汗」が多く出ます。靴や靴下で蒸れた汗が、皮膚常在菌により分解されて「イソ吉草酸」や「酪酸」というニオイ物質が発生し、混ざり合って発酵食品のようなニオイが発生すると考えられています。 脇のニオイの特徴 脇には「アポクリン腺」が特に多くあり、水分が少なく粘りのある「アポクリン汗」が多く出ます。これが皮膚常在菌によって分解され「3-メチル-2-ヘキセン酸」等のニオイ成分が発生し、酢っぱいニオイのもとになると考えられています。 頭皮のニオイの特徴 頭皮は身体の中でも特に「皮脂」が多く分泌される場所です。加えて汗(エクリン汗)をかきやすく、髪の毛で汗が蒸発しにくいため蒸れやすいといった特徴があります。このように頭皮では、エクリン汗由来のニオイ「汗臭」と皮脂由来のニオイ「脂臭」が混じり合い、独特の「頭皮臭」を生み出します。 このようにニオイが違えばその原因も違う、つまりそれぞれのニオイの原因に特化したケアが必要と私たちは考えます。

【研究結果】頭皮臭抑制成分の探索

図5.汗臭・脂臭に対するニオイの抑制効果

では、「頭皮臭」を防ぐには、どのようにすれば良いのでしょうか?これまで身体のニオイ「体臭」については数多くの研究結果が報告されていますが、頭皮のニオイ「頭皮臭」に着目した研究はあまり知られていませんでした。そこで、私たちは「頭皮臭」を改善する成分の探索に取り組みました。

揮発性成分の量を測定することができるガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、様々な成分の「頭皮臭」に対するニオイの抑制効果について調べました。

様々な成分を調査した結果、「汗臭」を効果的に抑制する「成分A」と、「脂臭」を効果的に抑制する「成分B」を見出すことができました。この結果から、複数のニオイ成分が関係している「頭皮臭」に対しては、それぞれの原因に対して有効に働くニオイ抑制成分を組み合わせることが有効ではないかと考えられました。

【研究結果】人工頭皮臭を用いた官能評価試験

図6. 人工頭皮臭による各成分の官能評価結果

次に人の「頭皮臭」に含まれている成分を調べ、それらを調合して「人工頭皮臭」を作成しました。それを用いて前述の成分A・Bのニオイ抑制効果を専門家による官能評価により検証しました。

その結果、成分A・Bはそれぞれ単独で頭皮臭の抑制効果を示しました。更に両成分を組み合わせることにより、それぞれ単独で用いるより、より高い頭皮臭抑制効果を発揮する事が確認されました。

これらの結果より、「汗臭」と「脂臭」からなる頭皮臭に対して、それぞれに抑制効果を持つ「成分A」と「成分B」の組み合わせが有効であることが確認できました。

【研究結果】頭皮臭抑制成分を配合したミストでの官能評価試験

図7. 成分AとBを配合したミストによる実使用試験結果

これらの成分を配合したミストを40代男性の頭部にスプレーし、専門家の官能評価により実使用条件での効果についての検証を行いました。

頭皮臭抑制成分(成分AおよびB)を配合したミストを使用することにより、実際のヒトの頭皮においても不快な頭皮臭を抑えることができました。

以上の研究成果より、この度見出した汗臭を抑制する「成分A」と脂臭を抑制する「成分B」を組み合わせることにより、頭皮臭に対して高い抑制効果を示すことが確認されました。

複数のニオイの原因が関係している「頭皮臭」に対しては、それぞれに対して有効に作用するニオイ抑制成分を組み合わせることが有効であると考えられ、「頭皮臭」のためのケアの必要性が示されました。

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