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還元剤の種類により毛髪微細構造への影響が異なることを解明
ポイント
- パーマ処理時、毛髪内部のα-ヘリックス構造への影響は還元剤の種類により違いがあることが判明。
- α-ヘリックス構造に強く影響する還元剤は、毛髪強度の低下と引き換えに高い縮毛矯正効果を示した。
- 縮毛矯正にはチオグリコール酸が、ウェーブパーマにはシステアミンが適した性能を示すことが確認された。
- 本研究内容は平成30年度繊維学会秋季研究会にて発表。
毛髪の微細構造 ~αヘリックスとは?~
毛髪はキューティクル、コルテックス、メデュラから構成され、のり巻きのような構造をとるといわれています。しかし実際にはさらに細かい構造に分けられます。コルテックス内部には20nm程度のコイル状である「αヘリックス」という部位が存在します。毛髪内部コルテックス部位にはαヘリックスが多数連なっており、この部分が毛髪の強度に大きく影響を与えています。
αヘリックスの構造変化 ~パーマ処理が及ぼす影響~
パーマ処理は還元剤と酸化剤を用いて施術を行いますが、毛髪へのダメージがともなうため毛髪の強度低下を引き起こします。αヘリックスの状態もまた、毛髪の強度に大きく関係することがわかっています。本研究ではパーマ処理時のαヘリックス構造の変化について着目し、還元剤の種類によってどのような違いがあるのかを追究しました。
【研究結果 ~各種還元剤処理による毛髪構造変化とパーマ処理効果~】
IP型微小部X線回折という装置を用いて毛髪のαヘリックスの結晶化度と配向度について比較しました。市場で用いられている5種の還元剤処理毛について検討を行った結果、処理によってαヘリックスに変化を与えやすい還元剤と、変化を与えにくい還元剤が存在することが分かりました。また、縮毛矯正効果は処理によるヘリックス構造への作用との関連性が大きく、ウェーブ形成効果は処理によるヘリックス構造への作用との関連性がないことが確認されました。
この結果から、縮毛矯正にはチオグリコール酸などのヘリックス構造変化を起こす還元剤、ウェーブパーマにはシステアミンのようにヘリックス構造に変化を与えず未処理毛の状態に近いままカールを形成できる還元剤が適していることが分かりました。
本研究内容は平成30年11月1〜2日に福井県で開催された繊維学会秋季研究発表会にて発表を行いました。発表した研究成果は、施術メニューに応じて適した還元剤を使用するために、パーマ製品の処方開発に応用しています。
発表会 | 平成30年度繊維学会秋季研究発表会 |
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発表タイトル | パーマ処理による毛髪の微細構造変化とその効果 |
発表者 | 岡部真也、緑川朋子(アリミノ総合研究所)、伊掛浩輝(日本大学材料創造センター) |
発表日 | 2018年11月2日 |