DaB omotesando
盛 隆行モリタカユキ
「DaB omotesando」店長兼トップスタイリスト。美容業界紙・雑誌などの撮影スタイリング・ヘアメイク、国内外でのセミナー活動などを行なう。個人に合わせたバランス感覚の高いデザイン提案には定評がある。近年では美容メーカーでのヘアカラー剤の企画・開発に携わるなど、その技術と知識量を活かして活動の幅を広げている。
盛氏の頭に浮かぶ映像は、夕暮れの滝。それは、勇ましく鋭い印象の滝ではなく、静かな山奥に溶け込む、少しかすみがかったイメージのある滝だ。日没前に数十分だけ起こる特別な“マジックアワー”。上から下に落ちゆく水の流れを髪に見立て、だんだんと変化していく一瞬の色合いを切り取って表現している。
「夕暮れの滝」を表現するために重要だったことは、カラーの組み合わせと濃淡を共存させるバランス感覚です。ピンクとグレイをメインに使い、根元から毛先にかけて少しずつクリアピンクを追加し、内側はブリーチをして色濃く鮮やかに仕上げています。毛流れにもこだわりつつ、滝がまっすぐに落ちていく様子と、岩にあたって飛沫が跳ねるという2つの瞬間的な動きをカラーで表現。また、全体的にグラデーションをかけることで、透け感と柔らかさも両立させました。際立った非日常的なスタイルではなく、どなたにでも取り入れていただきやすい「ASIAN COLOR FES」だから可能になるカラーデザインを追求しました。
今回のセッションでは、「今の時代感のある色」も意識しました。“時代によって色のニュアンスは変わる”と僕は思っています。例えば、ピンク色とひとえにいっても、コーラルピンク、サーモンピンク、ベビーピンクなどそれぞれ違いがあります。同じピンクでも時代のキーとなる色みがあるので今回の撮影では、今の時代感のあるピンクを表現してみました。「ASIAN COLOR FES」は、鮮やかな発色が特徴ですが、時代に合わせた繊細な色表現も可能です。明るさと色の強さも同時に叶えられるので、自分にしかつくれない色を探しながら、ヘアカラーを楽しみたいです。